筆触を活かした衣服の質感表現

ハタスちゃん

2017年11月20日 17:07

 メランコリックな表情を浮かべる画家の愛人ジョアンナ・ヒファーナン。本作は画家が2年前の1862年に手がけた≪白のシンフォニー≫作品と同類の名称が付けられているものの、それと比較しホイッスラーが強く関心を示していた日本趣味的要素が描き込まれているのが大きな特徴のひとつである。

 筆触を活かした衣服の質感表現。ジョアンナ・ヒファーナンが身を包む、品の良い白いモスリン風の衣服は、画家の高度な技術によって透明感や空気感などの質感に迫りつつ、筆触を活かしながら見事に表現している。

 ホイッスラーが強く関心を示していた日本趣味的要素。前作同様、当時、ホイッスラーが同棲していた愛人ジョアンナ・ヒファーナンをモデルに描かれる本作は、当時好まれたヴィクトリア朝のモティーフを画題としながらも、日本風の団扇や朱色の碗、白磁の壷など東洋的要素が効果的に配されている。