2018年01月11日

ギュスターヴ・ジェフロワの肖像


後期印象派の大画家ポール・セザンヌを代表する肖像画作品『ギュスターヴ・ジェフロワの肖像』。

故郷であるエクスへと制作拠点を移した1880年代以降の画家としては珍しく、パリで制作された本作は、彫刻家ロダンやクロード・モネの友人であり、熱心なセザンヌの共鳴者でもあったジャーナリスト兼文筆家(そして美術批評家としても知られる)≪ギュスターヴ・ジェフロワ≫を描いた肖像画作品である。

画面中央へと配されるほぼ正面から捉えられたギュスターヴ・ジェフロワは椅子に腰掛け、仕事机に両手を乗せながら(執筆中であろうか)仮綴本を数冊広げている。画面の左側には薔薇が挿された花瓶とロダンの彫刻が置かれており、ギュスターヴ・ジェフロワとロダンの友好的な関係を示している。  


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2017年12月11日

ヒマラヤの雪男、米チームが「身元」特定

「雪男」の正体はやはりクマだった──。ネパール・チベット間のヒマラヤ(Himalaya)一帯に住むと言い伝えられ、雪男とも称されてきた未確認動物「イエティ、Yeti」。米研究者らがこれまでイエティのものとされてきた遺物の広範な遺伝学的調査を行い、それらが実は複数のクマのものだったことを突き止め、29日、学術誌に発表した。長らく信じられてきたイエティ神話を打ち砕く研究成果となった。

 イエティの正体がクマだったとする研究はこれが初めてではないが、英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)に掲載された論文によると、今回の研究では、イエティのものとされてきた骨や歯、皮膚、毛、ふんから、これまでにない量の遺伝学的証拠を収集して調べた。

 その結果、「イエティの手」をはじめとする世界中の個人コレクションや博物館から収集した証拠品は、実際にはアジアクロクマ(ツキノワグマ)かチベットヒグマ(ウマグマ)、ヒマラヤヒグマのものだったことが判明した。

 これら3種のクマはそれぞれ「世界の屋根」ヒマラヤ山脈の異なる地域に生息しており、いずれの種類のクマもかつてイエティと誤認された可能性があるという。

 論文の主執筆者を務めたニューヨーク州立大学バッファロー校(University at Buffalo, The State University of New York)教養学部のシャーロット・リンドクビスト(Charlotte Lindqvist)准教授は「われわれの研究成果は、イエティ伝説の生物学的根拠がその地域(ヒマラヤ山脈)のクマに見られることを強く示唆している」と述べている。

 研究チームは、それぞれの標本の完全なミトコンドリア・ゲノムを再構成することで、ヒマラヤ山脈の絶滅の危機にある肉食動物であるクマとその進化の歴史に関する重要な発見もした。  


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2017年11月30日

夢 (Le rêve)

素朴派を代表する画家アンリ・ルソー随一の代表作『夢』。

本作は国外へ旅行したことがなかったルソーが、想像力と独特の観察眼によって制作した大作であり、1910年にアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)へ出品され、多くの批評家らから賞賛を受けた作品である。同展へ出品された際、イタリア出身の詩人ギヨーム・アポリネール(ポーランド人)による次の詩が添えられたことが知られている。

「甘美な夢の中のヤドヴィガ、いとも安らかに眠りへと誘われ、蛇使いの吹く笛の音を聴き、その瞑想を深く胸に吸い込む。そして緑燃える木々の波の上では、月影がきらめき、野生の蛇たちは、曲の陽気な調べに耳傾ける」。ヤドヴィガとは画家が数年前に恋焦がれていたポーランド人女性の名前であり、画家自身の言葉によると「このソファーの上で眠る女は森の中に運ばれて、蛇使いの笛の音を聴く夢を見ているのだ。」とソファーに横たわるヤドヴィガについて解説している。

  


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2017年11月20日

筆触を活かした衣服の質感表現

 メランコリックな表情を浮かべる画家の愛人ジョアンナ・ヒファーナン。本作は画家が2年前の1862年に手がけた≪白のシンフォニー≫作品と同類の名称が付けられているものの、それと比較しホイッスラーが強く関心を示していた日本趣味的要素が描き込まれているのが大きな特徴のひとつである。

 筆触を活かした衣服の質感表現。ジョアンナ・ヒファーナンが身を包む、品の良い白いモスリン風の衣服は、画家の高度な技術によって透明感や空気感などの質感に迫りつつ、筆触を活かしながら見事に表現している。

 ホイッスラーが強く関心を示していた日本趣味的要素。前作同様、当時、ホイッスラーが同棲していた愛人ジョアンナ・ヒファーナンをモデルに描かれる本作は、当時好まれたヴィクトリア朝のモティーフを画題としながらも、日本風の団扇や朱色の碗、白磁の壷など東洋的要素が効果的に配されている。
  


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2017年10月08日

厳しい状況に置かれる日本の母子家庭

 日本では片親の家庭(その殆どが母子家庭)の約半数が貧困状態にある。CNNではこの数字を取り上げ、他の先進国よりも高い水準にあると指摘している。アトランティック誌(9月7日)もアメリカの33.5%と比較し、「先進国中、片親(通常母親である)の環境は日本が最悪かもしれない」としている。記事では10歳の娘に新しい靴と下着を買うこともできないという家庭の事例を掲載しており、切実な状況が窺える。

 経済状態以外にも、ワシントン・ポスト紙(5月28日)では、シングルマザーを恥と見る文化を問題視しているようだ。「日本では、シングルマザーたちは貧困と『恥の文化』と闘っている」と表現する。高い道徳観を持つ日本だが、言われなき差別という弊害も生んでしまっているようだ。

 なお、アトランティック誌によると、アメリカで離婚率が減少傾向にあるのに対し、日本では80年と比較して66%も増加している。こうした環境に苦しむ女性は増えつつあるようだ。  


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2017年09月28日

特に重要視される作品のひとつとして広く認知されている

 画面の倍加された縦横の比率や、どこか控えめで寂しげな印象を受ける独特の詩情性には当時、画家が傾倒していたジャン=バティスト・カミーユ・コローの著しい影響が指摘されているが、それと同時に前景へ描かれる姉エドマとイヴの都会的で洗練された雰囲気や早い筆さばきによる筆触、鮮やかな色彩の使用などには同時代を代表する画家であり、師弟関係以上の(恋愛的な)感情を抱いていたとも推測されるエドゥアール・マネの影響を容易に見出すことができる。

 これらの点などからも本作は後にベルト・モリゾが確立してゆく独自の表現様式の形成に至る過渡(過程)を考察する上で特に重要視される作品のひとつとして広く認知されている。  


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2017年09月18日

視点が画面全体へとゆきわたるよう配慮がなされている

エルミタージュ地区旧道の上方に位置する18世紀に建てられた農家の赤い屋根。本作は80年代まで中心的画題であったセーヌ川下流オワーズ川流域のポントワーズの裏側にあるエルミタージュ地区の風景を描いた作品のうちのひとつである。

観者の視界を絶妙に遮る果樹園の木々。≪赤い屋根≫と呼称されるゆえ、赤い屋根の家々部分に観る者はその観察を奪われがちであるが、前景に配された果樹園の木々が絶妙に観者の視界を遮り、視点が画面全体へとゆきわたるよう配慮がなされている。

大ぶりかつ大胆な筆触。やや小ぶりな画面ながら、細部の描写においても、また構成・色彩など全体的な完成度や観者の心象へ訴えかける高い表現力などから、本作は画家が描いた同地近辺の田園風景作品の中でも特に代表作とされている。

  


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2017年09月07日

あの人、意識高いよね

 「あの人、意識高いよね」。ボランティアなど、社会の役に立つことをすると、日本では引かれてしまうことがあります。アメリカで、レディ・ガガらトップアーティストをボランティアに巻き込んだ「本当に意識が高い人」に、なぜ日本はボランティアのハードルがこんなに高いのか、「意識高い系」をどう見ているのかを聞きました。「意識が低くてもいいんです。低成長時代に幸せになるカギが、ボランティア」。どういうことでしょう?

 話を聞いたのは、世界的イベント「RockCorps(ロックコープス)」を仕掛けるスティーブン・グリーンさん(51)。

 ロックコープスは、4時間以上のボランティア活動をすれば、有名アーティストらによるライブのチケットがもらえるという、新しい形の社会貢献型イベントです。ボランティア活動が、若者にとって音楽やファッションのように身近な存在になるようにと、2005年にアメリカでプロジェクトが始まりました。

 今までに世界10カ国で17万人以上がボランティアに参加し、「セレブレーション」と名付けられたライブは、過去にレディ・ガガやリアーナも参加しています。日本では2014年に初開催。4回目の開催となる今年は、9月2日に幕張メッセでセレブレーションが予定されています。

 スティーブンさんは、ロックコープスをプロデュースする企業のCEOです。いろんな国で、社会を変えようと活躍しています。

 そんな「本当に意識が高い人」に、日本の「意識高い系」の議論って、どううつるのでしょうか。聞いてみました。  


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2017年08月28日

ルノワールの絵画における信念や思想の表れでもあるのだ

本作は当時、労働者階級にあった人々を描いた作品ではあるが、そこにあったであろう重々しく疲弊的な雰囲気は(本作には)一切感じられず、明るく愉快に過ごす人々の生や喜びを強く意識し描いたことは、ルノワールの絵画における信念や思想の表れでもあるのだ。

庭園内のぶらんこに乗る女。本作は、当時ルノワールが借りていた家(コルトー街12番地)の≪ぶらんこ≫のある大きな庭園で過ごす人々を描いた作品で、主人公となる≪ぶらんこに乗る女≫は『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』にも登場する若き女優ジャンヌをモデルに描かれたと推測されている。

  


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2017年08月18日

彼らより年長であり印象主義の先駆ともなったマネが度々訪れていたことが知られている


 作品制作に集中するフレデリック・バジールの姿。本作はルノワールと同じく印象派の初期からその形成に携わっていた同派を代表する画家フレデリック・バジールが画布に向かい作品を制作する姿を描いた肖像画作品である。

 丸く屈められたバジールの大きな背中。ルノワールは一時期、比較的裕福であったバジールとアトリエを共有しており、このバジールのアトリエにはルノワールの他にモネやシスレー、そして彼らより年長であり印象主義の先駆ともなったマネが度々訪れていたことが知られている。

 バジールが本作中で取り組む画題のアオサギ。本作の中でバジールはアオサギを画題とした作品を手がけているが、シスレーがこの作品とほぼ同内容の作品を制作しており、この作品への取り組みはバティニョール派の画家たちの強い共鳴を示す例としての意味も見出すことができる。  


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